中高一貫校に通うことには多くのメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
このデメリット面が医学部受験の際に大きな足枷になってしまう可能性があります。
本ページは中高一貫校に在籍していて医学部を目指している生徒さんとその親御さん向けに、医学部指導の経験豊富なプロ家庭教師と心理的なサポート経験豊富な臨床心理士が執筆致しました。
中高一貫校に通っているお子さんが医学部受験を見据えた際に、心配なことやお困りなことが出てきたときはご一読頂ければと思います。
少しでも参考にしていただけることがあれば幸いです。
医学部入試における中高一貫校のメリットとは
医学部を受験するにあたり、中高一貫校に通っていること自体がメリットになることがあります。具体的なメリットをいくつか挙げてみます。
高校入試を受けなくて済む
中高一貫校に行く人のほとんどが「高校受験をしなくて済むから」という理由で中学受験をしたはずです。
レベルが上の学校や倍率の高い学校を狙うなら、高校入試はかなりのプレッシャーになります。
公立の中学では中学3年生ともなると高校受験のためにピリピリしたムードになります。
中2、中3は思春期まっただなか。メンタルに不安を抱えやすい時期でもありますから、そのような雰囲気の中にいるだけでもつらくなってしまうこともあるでしょう。
のびのびした雰囲気の中で中学の3年間を過ごすことができるのは中高一貫校のメリットだと思います。
中高6年間で大学受験を見据えた授業システムである
中高一貫校の授業システム面での大きなメリットは、中学高校の6年間という長いスパンで大学受験を見据えた授業をしてくれることです。
公立の中学校ですと、どうしても中学3年間の義務教育の中での学習指導要領に基づいた授業しか受けることができません。
3年間で完了する授業しかできないということになります。
一方、中高一貫校の授業では中学のうちから高校の内容が入ってくることが多々あります。
歴史ある中高一貫校の中には、大学受験のための6年間のメソッドとしてかなり体系的なシステムを構築しているところもあります。
中には、高校1年までに中高6年間の内容を終わらせてしまって、高2、高3は大学受験予備校のごとく演習に費やす学校もあります。
6年間で効率の良い効果的な授業が受けられるのは、難関大学や医学部などを目指す方には大きなメリットになるでしょう。
医学部入試における中高一貫校のデメリットとは
6年間通しての通学がメリットになることの多い中高一貫校ですが、中高一貫校から医学部受験を目指す際、デメリットになり得ることがいくつかあります。
高校入試を受けないことがデメリットになりうる
よく、入試や就活の面接で「短所は長所になりうる」と言いますが、長所も短所になり得ます。
中高一貫校のメリットでもある「高校入試を受けないで済むこと」が中高一貫校のデメリットでもあるのです。
高校入試を受けないで済むということは、高校入試レベルの基礎学力に達していなくても(もしくは高校入試レベルの基礎学力があるかどうかわからないまま)高校に進学できてしまう…ということであると換言できます。
定期テストでは良い点を取っていても…
定期テストで良い点を取っていても、テストの出題傾向や範囲によっては、習得すべき単元の基礎学力がついていない可能性もあります。
公立中の生徒さんたちは、高校入試のための模試(例えば、都内ならVもぎ、埼玉なら北辰テストなど)を受けるので、否が応でも自分の実力を中学3年生の時点で知ることになります。
自分の実力を知る機会がないために…
しかし、中高一貫校の生徒さんは、そのようにして自分の実力を知る機会がありません。
進研模試などを学内で受けることはあると思いますが、模試の結果が良くなくても「高校受験はしないから」とか「定期テストは取れているから」といって軽視してしまうと、結果的に基礎学力がついていないまま大学受験に突入することになります。
医学部どころか中堅校も…
そうすると、医学部どころか中堅校もあやうい…という結果になることもあります。
実際に、私がお世話させていただいた方の中にもそのような経緯をたどって高3になってからひどく後悔なさった方もひとりやふたりではありません。
高校の授業を中学に前倒しするということは…
中高一貫校は、高校の授業を前倒しすることが多々あります。
中学のうちから高校の範囲の学習をすることになります。
ごくごく普通に考えて、高校の内容は中学のものよりも難しいです。
基礎力のついている人なら問題ないのですが、基礎力があいまいですと、前倒しされた高校の内容がわからない…となる可能性がままあります。
また、中学のうちから高校の授業が入ってくるということは、それだけ授業内容が濃く、多くなるということになります。
物理的にも学ぶことが増えますので、キャパシティオーバーしてしまう生徒さんもいらっしゃいます。
授業についていけなくなる→テストで点が取れなくなる…デメリットだらけ
中学の授業だけでなく高校の範囲の授業も入ってきて、さらに授業の進みも速い…
となると、授業そのものについていけなくなる方もいらっしゃいます。
授業についていけなくなると、定期テストで点数が取れなくなります。
多くの中高一貫校では、定期テストでよくない点を取ってしまった生徒さんに再試験や追試験、追加のレポートや課題などが課されます。
追加の試験や課題をこなすのに精一杯になってしまって、予習復習が二の次になることも少なくありません。
すると、次の定期テストでもあまり良い点が取れない…という悪循環に陥ります。
悪循環は解決できることも!
そのような悪循環に陥ってしまった場合は、学校の先生に相談しましょう。
先生方も相談すればわかってくださいます。
私がお世話させていただいた生徒さんにも、先生に丁寧に相談することで追試験や課題を調整してもらったこともありました。
発達特性や不登校、クラスメイトとの人間関係の問題が絡んでいるときには、私も臨床心理士として学校と連携させてもらったこともあります。
つらさやどうにもならなさをひとりだけで/おうちだけで抱えずに、相談してくださいね。
“深海魚”になってしまったらリカバリー不可能⁈
前項のように先生に相談したりして「授業についていけない」「テストで点が取れない」問題を解決しつつあるとしても、一度そのような状況に陥ってしまうと医学部を目指せるような上位層に食い込んでいくのは至難の技になってくるかもしれません。
数年前から、中高一貫校の生徒さんの成績は二極化しています。
二極化する中高一貫校
定期テストでも実力テストでも常に納得のいく良い点数と偏差値をキープしている「上位層」(私は「トビウオ」と呼んでいます)と、なかなか思うように点が取れないどころか不本意な底辺層に属してしまっているいわゆる「深海魚」です。
「深海魚」は最近ニュースなどでも取り上げられていますね。
しかし、「深海魚問題」をこのままにしていてはいけないと思います。
中高一貫校の負の産物として、社会問題として扱い、改善していくべきだと思っています。社会病理といっても過言ではないでしょう。
なぜそんなにも問題にすべきかというと、現在の中高一貫校のシステムでは一度「深海魚」になってしまうと上位層…「トビウオ」に返り咲くことがほぼ不可能であるからです。
深海魚は浪人必須⁈
深海魚状態から医学部や難関校に合格した生徒さんにいらっしゃいますが、浪人生活を余儀なくされました。
私のお世話させていただいた生徒さんは、高校を卒業してから中学までさかのぼってコツコツと基礎力をつけてから医学部受験に臨みました。
在籍していた学校で、深海魚として追試・再試・再々試・課題・レポートに時間と労力を費やしていたため、卒業してからでなければ医学部受験のための土台を作る時間が取れなかったからです。
多くのデメリットを紹介してしまったため、今この画面をご覧の生徒さんや親御さんが青ざめてらっしゃるのではないかと心配しています。
でも、医学部合格のための道は現状を正確に客観的に見つめることから始まります。
大丈夫。
ここからがスタートです。
医学部にはメンタルが大切!
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思うように成績が上がらない方
予備校や塾だけでは心配な方
学力もメンタルも鍛えたい方
浪人生活は今年までの方
一緒にがんばりましょう^^
image:Rudy and Peter SkitteriansによるPixabayからの画像